中学生・高校生は、進路を考える機会が増えます。その一方で、将来やりたいことが決まらず、周囲から遅れているように感じる生徒もいます。
キャリア教育講演の役割は、正しい進路を教えることではありません。自分の経験を見直し、情報を集め、選び直しながら進めることを伝えることです。
中学生には夢が決まらない状態を認める
「夢を持とう」という言葉は、すでに目標がある生徒には力になります。しかし、夢が分からない生徒には、答えを迫られているように聞こえることがあります。
中学生のキャリア教育では、興味が変わってもよいこと、最初は小さな関心から始まることを伝えます。
夢の代わりに考えられる問い
- 最近、時間を忘れて取り組んだことは何か
- もう少し知りたいと思ったことは何か
- どのような人の働き方が気になったか
将来の職業を答えるより、今の自分を知る問いから始めます。
高校生には選択後の生き方も伝える
高校生は、進学や就職など具体的な選択を迫られます。
大切なのは、失敗しない選択を探すことだけではありません。選んだ環境で何を学ぶか、合わなかったときにどう見直すかもキャリアの一部です。
第一希望に届かなかった。けがで続けられなくなった。仕事や契約が終わった。こうした出来事を経験した人の実話は、選択後にも道を作り直せることを示します。
挫折を失敗の結論にしない
粕尾将一は、2006年に靱帯を断裂し、2015年にはシルク・ドゥ・ソレイユとの契約が終わりました。
どちらも望んだ出来事ではありません。しかし、けがの後に競技との関わりを変え、契約終了後は指導者として日本なわとびアカデミーを作りました。
挫折を美化する必要はありません。苦しい出来事だったことを認めたうえで、その経験を次の選択にどう使ったかを伝えます。
キャリア教育講演で成功談だけでは足りない理由も参考にしてください。
好きなことを一つの職業名に閉じ込めない
なわとびが好きでも、競技者だけが将来ではありません。
舞台に立つ、教える、イベントを企画する、道具を作る、文章を書く、会社を運営する。一つの関心から複数の役割が生まれます。
中高生のキャリア教育では、好きなものをすぐ職業名へ変換せず、どのような関わり方があるかを広げます。
周囲との対話から自分を知る
キャリアは一人で考え続けても見えないことがあります。
先生、保護者、友達、外部講師との対話を通して、自分では気づかなかった強みや関心が見えることがあります。ただし、大人が答えを決めるのではありません。
相手の意見を聞きながら、最後は自分で選ぶ。その経験もキャリア教育です。
親子コミュニケーションで正解を急がない対話は、家庭で進路を話すときにも使えます。
講演後に次の一歩を決める
講演の最後に、進路を決める必要はありません。
気になる仕事を調べる。話を聞いてみたい大人を探す。今の学校生活で、自分が担っている役割を振り返る。生徒自身が選べる小さな行動を残します。
中高生向け講演を進路学習へつなげる
講演前に自分の判断基準を考える
進路先の名前を決める前に、何を大切にしたいかを言葉にします。興味、得意、学びたい環境、生活、周囲との関係など、選ぶときに気になる条件は人によって違います。講師の選択と自分の基準を比べる準備ができれば、成功例をそのまままねずに聞けます。
経歴の転換点を時系列で見る
結果だけを並べるのではなく、けが、出会い、応募、契約、環境変化、再出発の各場面で何を考えたかを整理します。偶然と本人の行動を分けて見ることで、キャリアは最初に決めた計画を守ることではなく、状況に応じて選び直す過程だと理解できます。
身近な大人へのインタビューへ広げる
講演後、家族、教職員、地域で働く人へ、今の仕事を選んだ理由や予定外だった出来事を聞きます。有名な講師だけでなく、身近な大人にも複数の選択があったと知ることができます。講演を一人の特別な物語で終わらせず、社会を知る学習へつなげます。
インタビューでは職業名や成功だけでなく、仕事で大切にしていること、困ったときに相談した相手、学び直した経験も尋ねます。生徒が複数の生き方を比べ、自分の判断基準を言葉にできれば、講演は進路先を決めるだけではないキャリア教育になります。
世界の舞台と再出発を中高生へ伝えます
粕尾将一講演会では、アジア大会優勝、世界大会種目別5位・個人総合6位、シルク・ドゥ・ソレイユ出演に加え、けがや契約終了後の再出発も扱います。
